薮田ひかる 教授

研究紹介

2017年に広島大学に着任し,宇宙生命学研究室を新しく立ち上げました。宇宙生命学(アストロバイオロジー)とは,様々な分野を横断・融合することによって生命の起源と進化を解明し,その未来を予測する学際分野です。私は,宇宙に豊富に存在する元素から成り,かつ生命を構成する主要物質である有機化合物を手がかりとして,太陽系の起源と形成過程,生命起源に至る前生物的化学進化,地球史と生物進化,石油資源の成因,環境中の汚染物質動態に渡り,宇宙生命学の発展に繋がるアプローチを約20年の間に展開してきました。
特に,私が長年いちばん力を入れているのは,宇宙に存在する有機物の化学進化研究です。化学反応性が高い有機化合物は初期太陽系で起こった色々なプロセスを敏感に記録しています。つまり,太陽系形成史を完成に近づけるためには,異なる進化段階にある始原小天体有機物の化学組成とその分布,鉱物との関係を比較することが大変重要です。クロマトグラフィー質量分析,熱分解,核磁気共鳴分光,放射光などを用いた,隕石・南極微隕石・彗星塵の化学分析や室内実験を基盤として,小惑星サンプルリターン「はやぶさ2」,小惑星フライバイ計画「Destiny+」,国際宇宙ステーションでの宇宙塵採取計画「たんぽぽ」,さらに続く将来太陽系探査の発展に取り組んでいます。
私と一緒に研究する学生の皆さんには,幅広い好奇心を持つと同時に一つ一つの問題を丁寧に追求し,他の人が踏み入れたことがない荒れ地のような領域を自分の力で開拓できるようになってほしいと思っています。遠回り空回りしても全然大丈夫です。その経験は後に自分だけの強みになります。また,本研究室では,より大型の研究を実現するために他の専門分野の研究者と協力し合う機会も沢山ありますので,色々な人々と交流し,世界を見て,皆さんの人生の1ページを豊かなものにできれば,嬉しく思います。

主な研究業績

  • Yabuta, H., Noguchi, T., Itoh, S., Nakamura, T., Tsujimoto, S., Sakamoto, N., Hashiguchi, M., Abe, K., Okubo, A., Kilcoyne, A. L. D., Tachibana, S., Okazaki, R., Terada, K., Ebihara, M. and Nagahara, H. Formation of an ultracarbonaceous Antarctic micrometeorite through minimal aqueous alteration in a small porous icy body. Geochimica et Cosmochimica Acta 214, 172–190. 2017.
  • Yabuta, H., Uesugi, M., Naraoka, H., Ito, M., Kilcoyne, A. L. D., Sandford, S. A., Kitajima, F., Mita, H., Takano, Y., Yada, T., Karouji, Y., Ishibashi, Y., Okada, T. and Abe, M. X-ray absorption near edge structure spectroscopic study of Hayabusa Category 3 carbonaceous particles. Earth, Planets and Space, 66:156, 2014.

学生の研究テーマ

  • 加登大輝(M2)「Jbilet Winselwan炭素質コンドライト隕石に含まれる多環式芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素の組成から読み解く母天体熱変成」
  • 天野 翠(M1)「宇宙空間でのダストその場質量分析に向けた、さまざまな有機化合物のレーザー脱離イオン化質量スペクトル評価」
  • 後藤優衣(M1)
  • 上出奏海(B4)
  • 中井康生(B4)
  • 重中美歩(B3)(Hi-Sci自由課題研究)
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広島大学大学院先進理工系科学研究科 地球惑星システム学プログラム 地球惑星化学グループ